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ケーススタディ— カフェのサマードリンクメニューパネル制作│三宅健司

ケーススタディ— カフェのサマードリンクメニューパネル制作│三宅健司

ケーススタディ--- カフェのサマードリンクメニューパネル制作

カフェのサマードリンクメニューパネルの制作です。いつもなら、担当営業と担当デザイナーそして、ディレクターとして私が参加して、打ち合わせを行うのですが、今回はスケジュール上の事情や、コロナ禍で全員リモートワークを行なっていることもあって、私がディレクションもデザインも撮影管理、写真の加工合成なども一人で担当することになりました。

今回の案件について

主役のドリンクは二つです。一つは既に写真があるカフェトニック。もう一つは今年の新作メニュー、黒糖コーヒーゼリーのミルクコーヒーです。写真撮影は、コロナ禍のせいもあり、新メニューのみ、キリヌキの撮影を出来るだけ短時間で少人数で行うことになりました。いつものような背景や小物を用意してのイメージ撮影は行えません。

いつもの手順としては、
サムネール、または手書きラフ→
方向性をチェック→
カラーラフ提案→
修正→
撮影→
正式な文字を入れデザイン・レイアウト→
入稿→
色校正確認→
納品

※今回のお客さんとはもう何年もお付き合いがあるので上記のような手順で行いましたが、初めてお仕事をするお客さんであれば、まずはそのブランドや商品を理解する。というところから始まります。

となるのですが、今回はディレクターの私が全て行うので、途中の三宅デザイン内部での打ち合わせはほとんどしていません。担当営業には、途中でラフを見せますが、その他は、ほぼ自分一人で方向性を決め写真合成や、撮影の立ち会い・指示まで行いました。(本当は良い方法では無いのですが...)

作業の進め方について

それでは、作業の手順を説明します。
どんなビジュアルだったら、今回のドリンクが映えるか、飲みたくなるか?などを考えながら、イメージを浮かべていきます。いろんな資料(Web、雑誌の広告、デザインの資料集など)を見ながら、メモを取っていきます。単語の羅列でも構いません。
海、爽やか、冷たいドリンク、浜辺、プール、夏、避暑地、南国、ヤシの葉、貝殻、炭酸水イメージ、女性、砂浜、すだれマットの上にドリンク...
などを思いつきました。
同時にウェブ上から、飲み物に限らず、イメージに近い写真やイラストをピックアップします。(以前説明したムードボードです。)

そして、今回のドリンクをアピールできる、背景のビジュアルは?集めた写真やイラストの中から、こんな感じかな、これは違うなと一人で検討します。(普通は3〜4人でやります)

最終的に今回は、やっぱり、夏のイメージ+水かな、ということで、簡単な手書きサムネールをいくつか描いて、その中から、良さそうなものを二つ選びました。

今回は自分でカラーラフを作るためのメモみたいなものなので時間をかけずに描いていますが、社内で人に見せたり、お客さんに見せたりするのであれば、もう少しきちんと描いた方が良いです。


次は、素材を選んで集めます。
まずはA案。
素材は砂浜と海、上部に置く葉、ドリンクを置く木板、などです。

写真を、加工、合成していきます。↓

左は、ただ飲み物を載せただけ。右は簡単に影をつけたもの。
(最終的にはもっと丁寧に影をつけます。これはあくまでもラフなので簡単に)。

イラストレーター上で、仮の文字を入れます。

右下の辺りは、間が抜けているので、南国っぽい葉の影だけを追加しました。
左のドリンク写真も仮です。新しいドリンクを撮影して差し替えます。
一応A案ラフ完成。
この状態でお客さんに提案します。

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次はB案
素材は砂の背景、南国の葉、プールの波、などです。


砂の背景とプールの水とを組み合わせます。
水にぼかしをかけ、砂の背景にも濃淡をつけます。



ドリンクを置き、バランスを取り、影をつけます。
左上と右下にグリーンの南国っぽい葉をおきます。
また、右側にはA案と同じく、葉っぱの影だけを付けます。


左側が白すぎたので、再調整しました。
A案と同じく、右のドリンク写真や文字は仮です。
少し雑な仕上げで、不満はありますが、方向性はわかると思います。
お客さんに提案します。


お客さんに提案し、話しあった結果、B案に決まりました。
新しい「黒糖コーヒーゼリーミルクコーヒー」の写真を撮影しました。
以前撮ったドリンクと光の向きなどをなるべく合わせて撮影します。


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フォトショップで、再調整。
タイトル文字の入る右上はブルーを濃く調節。
ラフの時点では、右下の文字が白抜きだったけど、
ブルーの文字にしたいので、背景の色を調節。
飲み物の影も自然に見えるように、今度は丁寧に付けていきます。


イラストレーター上で、正式な文字を入れます。
商品名の色も、統一感が出ました。
文字を入れた後、背景や水、葉っぱなどの色や濃などの
微調整を繰り返します。
飲み物が主役なのでそれが強調されるように、背景は何度も調整しました。
画面が単調にならず、また、夏っぽさを強調するために、
左右に貝殻を配置しました。
タイトルの書体も変え、文字の影は取りました。
すっきりして爽やかな感じを目指します。
グラスは透明なので、グラスの上部に背景の水が自然に透けて見えるように
調整するのが大変でした。

出力して、色校正を見て若干修正します。
本番の出力物をチェックし、納品して、終わりです。

今回は、最後の微調整で結構時間をかけています。
スケジュールの関係もありますが、ラフはあくまで方向性を検討するものなので、、
それほど時間をかけていません。

最後に

若いデザイナーの皆さん、参考にしてくださいね。でも、担当営業や先輩デザイナーに相談しないで、一人で考えて方向性を決めちゃって作業するのは危険なので、気をつけましょう。方向性を決めるのは、ブレインストーミングやムードボードの作成、それを見ながらの話し合いが大切です。今回一人で方向性を決め作業したのは特別な例ですからね。
ちなみに、今回パネル制作をしたのは上島珈琲店の夏季限定ドリンクでした。特にコーヒーゼリーはゴロゴロ入っていてとても美味しかったですよ!来年もまたあるといいですね。

私たち三宅デザインは、デザインのプロ集団です。日本と台湾で培った経験を元に、平面デザイン、ウェブデザインを通して、クライアントの悩みを解決しています。どうぞご相談ください。

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記事を書いた人

MIYAKE KENJI 三宅デザイン代表、デザイナー。

個人ブログ◆三宅健司の音楽日記 (ja)

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