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多言語環境でのフォント問題3選

多言語環境でのフォント問題3選

多言語環境でのフォント問題3選

台北からこんにちは、三宅デザイン営業の石村です。
突然ですが、フォント、こだわってますか?私たちはもちろん、めちゃくちゃスーパー×100こだわってます。
フォントって、デザインにとってそれが全てというわけではないのですが、デザインの印象を大きく左右したり、別にクリティカルなミスではなくてもちゃんと整えられてないとなんだかとても気持ち悪かったり、デザインを構成するとても大切な要素の一つなんです。しかも、私たちは日本語・中国語が入り混じるデザインを日常的に扱うため、結構なマニアックな注意点とかもあったり、地味に結構大変なこともあったりします・・・。
今回は私たちのような、多言語が入り混じるデザイン会社が日常でよく遭遇する、「多言語環境でのフォント問題3選」をお届けしようと思います。

1.言語によって同じフォントサイズでも大きさ違う問題

まずは基本のキ、これですね。日本のデザイン会社さんなんかでも同じかと思います。
日本語のフォントと中国語のフォント、あと英語のフォント。一口にフォントと言ってもそれぞれつくりが異なるので、同じサイズでも大きさが違うんです。例えば同じ10.5ポイントのサイズでも、和文フォントは大きめで、繁体中国語と欧文フォントは一回り小さめです。


図解するとこんな感じです。アルファベットの方が明らかに小さいですね。なんだか高さが揃ってなくてむずむずします。
このむずむずは一体どうしたらよいのでしょう…。
弊社社長の三宅に解説してもらいました!

 


特に中国語書体における漢字と欧文の大きさの違いが気になりますね。

またデザインの統一性という点でも欧文・数字などはそのまま使うには抵抗がある書体もあります。(文鼎黑體など)

台湾では一番ポピュラーな書体と言うと、おそらく華康書体(ダイナフォント)だと思います。ただ、見て分かるように、このように欧文・数字と漢字の大きさがかなり違うので、そのままでは使えません。三宅デザインのデザイナーは必ず調整するか、別の欧文フォントに差し替えて使用しています。

ちなみに、イラストレーターには「合成フォント」という機能があります。欧文や数字だけ違うフォントを組み合わせ、しかも%で大きさを事前に調整できる大変便利な機能です。日本のデザイナーの方はこの機能を普通に使われていると思いますが、なんと、イラストレーターは中国語は繁体字も簡体字も「合成フォント」に対応していないんです。(日本語版のイラストレーターでも同様です。)

インデザインでは中国語も「合成フォント」が使えるのですが、やはり簡単な一枚物の印刷物などで、イラストレーターの方が便利な場合もありますよね。そういうときは手動で欧文や数字の大きさを調整するのです。大変ですけど。(三宅)


 

なるほど、一つの文章の中に繁体中国語とアルファベットなどが混ざるようなときは、手動で欧文フォントのところを一ヶ所一ヶ所サイズ調整するんですね。大変な作業ですが、これでむずむずも解消です…、ありがとう、デザイナーの皆さん・・・。

フォントサイズの調整はうっかり見落としがちですが、揃ってた方が読みやすさや美しさが格段に向上するので、ぜひぜひ皆さんも気を付けてください!

2.繁体中国語の句読点の位置はおかしいのが正しいのに、日本のクライアントに信じてもらえない件

「おかしいのが正しい」って、一体何を言っているかわかりますでしょうか。
何かの皮肉かな?哲学かな?それともデタラメ?
 
どれも違います。そのままなんです。台湾で使われる繁体中国語は、句読点の位置がオフィシャルにおかしいんです。
どういうことかというと、こういうことです。


でもでも、WordでもPowerPointでもAdobeのイラストレーターでも、メジャーなフォントでもマイナーなフォントでもwebフォントでも、新聞でもテレビでも、繁体中国語のフォントである限り、こうなんです。免れないんです。
私はこれを初めて見たとき、「なんじゃこりゃ、文字化けか?!」と思ったものです。
まさかね、これがオフィシャルだなんてね・・・。
 
なので、台湾で使用するPOPとかのデザイン案を日本のお客様に見せると、普通に間違いと思われて
「句読点が真ん中に来ているので修正してください。」
と修正指示がきたりするんです。
 
で、台湾ではこれが公用なんですよー、って説明しても、
 
「えー、そうなんですかぁー?(ほんとかよ?!)
現地でそれが普通ならいいんですけど、、、(ほんとは下付きなんじゃないの?!)
なんか、あの、その、うーん、ほんとですか?!」
 
という反応をされることが多いです。悲しい。

しかもさらに言うとですね、ちょうど句読点のあたりで改行するときって、禁則処理といって、和文フォントの場合は自動で句読点がいい感じに前の行の最後にキュッと残ってくれるんですが、繁体中国語フォントはそうはならず、あたかも自分が普通の文字であるかのような顔をして普通に句読点が行頭に鎮座してくるんです。なので、新聞とか教科書とかでも句読点から始まる行が普通にあるという、日本人からみたらもう違和感以外の何物でもないことが普通に起きるんです。

↑こんな、ね。違和感の塊。
 
調べたわけじゃないのであくまで肌感覚ですが、繫体中国語のフォントはほとんどが等幅フォントで、プロポーショナルフォントを見たことがない気がします。なので、よけいマス目感が全面にでるんですよね。
 
これらの句読点の問題ってそもそもなんでこうなのかというと、台湾の繁体字ってやっぱり中国大陸の簡体字に比べてマーケットが圧倒的に小さいため、昔の人がフォントや、新聞用の文字組みソフトを開発する際、そこまでそんなに力をいれられなかったからぽいよ、という説を聞いたことがあります。(ソースは弊社社長の三宅健司。言質は不明です。)

 


新聞ではまだ、行頭に読点が普通に付いていたりします。雑誌などではインデザインを使う出版社やデザイン会社が増えたため、さすがにちゃんと禁則処理をしているものが増えました。三宅デザインでは、もちろん行頭の句読点は禁止しています。(三宅)


 

(ちなみに中国大陸で使われる簡体中国語になると、和文フォントや欧文フォント同様、句読点は下付きで禁則処理が普通、になります。)

3.データを受け渡しするとデータ名が文字化けして正常に開けない問題

これはデザインのビジュアルに直結するわけではないんですが、地味にいやーな問題です。
日本で日本語だけのPC環境にいたときは気づかなかったのですが、こちらでデータを作成・受け渡しするとまぁ、データ名が化ける化ける。日本でも、WindowsとMac間で文字化けが起きることはたまにありましたが、もうその何百倍も上です。
 
三宅デザインでは、日本語のOS、中国語のOS、Windows、Mac、考えうるPC環境いろいろが入り混じっています。例えば、私が会社で使っているPCは元々繫体中国語OSのところ日本語パックをインストールして日本語化したWindowsだったり、台湾人の営業スタッフは純繫体中文環境のWindowsだったり、Macでも、台湾人デザイナーは繫体中国語環境だけど三宅健司は日本語環境だったり、もういろいろです。なので、これらのPC間でデータを受け渡しすると、それだけで文字化けするとか、もうそんなの日常茶飯事。
これにさらに、日本のお客さんの純日本語環境のWindows、中国大陸の業者さんの簡体中国語MacとWindows、マレーシア・シンガポールの業者さんの英語版Windowsなどなどが加わると、もう、データが悲鳴をあげてるのが聞こえる気がします・・・。
 
じゃあデータ名が文字化けするとどうなるかというと、データが正常に開けなくなります。
Wordとか、それ単体で成立するようなデータだったらデータ名を打ち直せば良いんですけど、問題はデザインデータとかwebサイトのプログラムデータとかみたいな単体じゃ成立しない系のデータです。こういうデータって、それぞれの領域を担う複数のデータが関連しあって構成されていて、お互いをデータ名とか階層とかで関連付けすることが多いです。なので、データ名が化けてしまうとその関連付けが認識されなくなってしまうので、そのデータが担っていた部分が抜け落ちてしまったりするんです。こんなの、死活問題ですよ。
 
じゃあどうしたらよいのか。
他にもあるかもですが、私が知ってる解決策は、「圧縮データはとにかくMacで解凍する」、これ一択です。
(他にも、圧縮・解凍は最強ソフトと言われる7-zipを使う、とかありますが、7-zipを以てしても文字化けするデータは存在します・・・)
 
というかそもそもなんで文字化けしちゃうのかというと、文字コードの違いによるものが多いようです。日本語圏と繫体中国語圏ではメジャーな文字コードが違うため、悪いけどそっちの文字コードはこっちの文字コード環境下じゃ読み取れませーん!ということのようです。DVDプレーヤーかよ。
 
日本語で今メジャーなのはUTF-8といって、これは世界で最もポピュラーな文字コードでもちろん英語圏なんかでもこれがメジャーに使われています。対して繫体中国語圏で最もポピュラーな文字コードはBig5というコードで、台湾独自のものです。
昔は日本も独自の文字コードが多く使われていて、webサイトを閲覧していて文字化けに遭遇したらとりあえず文字コードを変えてみよう、というのはありました。でもいつからかグローバルに寄っていった感があります。
でも台湾は、いまだにBig5がメインのようですね。独自路線を貫くこのマイペースさよ・・・。
 
 
以上、多言語が入り混じるデザイン会社が日常でよく遭遇する、「多言語環境でのフォント問題3選」でした!

私たち三宅デザインは、日本と台湾で培った経験を元に、平面デザイン、ウェブデザインを通して、クライアントの悩みを解決しています。どうぞご相談ください。

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記事を書いた人

yoshimi ishimura 営業、進行管理

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