【ケーススタディ】カフェのサマードリンクメニューパネルの制作過程紹介
【ケーススタディ】カフェのサマードリンクメニューパネルの制作過程紹介
今回は、台北市内のカフェのシーズンメニューパネルの制作過程を紹介します。
メニューはバナナミルクコーヒー(アイス・ホット)とコーヒーソーダ(アイス)です。
これも、前に紹介した「ピザトーストのパネルポスター」と同じ様に、すでに撮影したキリヌキ写真を使用するという条件でした。 うーん、なんだかメニューの組み合わせが難しいなあ。
しかも、超短期での制作だったので、内心かなり焦りました。
1.デザインの方向性の決定
今回は、クライアントからは、具体的な希望がなかったので、まず担当営業と私で話し合い、おおよその方向性を決めました。
もしバナナミルクコーヒーだけなら、バナナやバナナの葉をビジュアルで強調すればよいのですが、コーヒーソーダも一緒に掲載するため、バナナのイメージが強すぎてもいけません。今回はそこが一番の難関でした。最終的にバナナや夏のイメージというより、南国のイメージを強調することにしました。
ビジュアルは、飲み物のキリヌキ写真3種、それに南国らしい葉っぱで構成することに。
普段はデザインの方向性をもっと広く何種か提案するのですが、時間が限られていたのもあり、方向性はおおよそ同じで、レイアウト案を2〜3種制作することになりました。私のラフ制作時間は一日も無かったと思います。
2.サムネールの作成
まず、サムネールを描きます。5〜6種類描いた中で、良さそうな3種を選びました。
サムネールを書く前に大事なことは、まずは、消費者の立場に立って考えることです。
たくさんサムネールを書くことも大切ですが、レイアウトの面白さや綺麗さだけを追求してはだめです。
今回の場合は、このカフェのお客さんが、入り口でパネルを見て興味を惹かれ、飲み物を注文したくなる場面を想像しました。
それには、どんな要素が必要か?どんなレイアウトが良いのか?色使いはどうしよう?
いろいろ考えながら、サムネールを何種も描きます。
ほんとに簡単なサムネールです。この場合1個描くのに1分もかけていません。
この3種のサムネールをもう少しだけキレイに描き直し、クライアントに見せ、方向性を説明し了解をとりました。 それから、カラーラフの制作にかかります。
3.レイアウトのヴァリエーション
考えたレイアウトは、おおよそ同じ方向性ですが、
1.葉っぱを枠にしたもの。
2.葉っぱを上下に装飾したもの。
3.葉っぱを飲み物の下に何枚か並べて敷いたもの。
の3種です。
素材サイトで、南国っぽい葉っぱのイラストを探し、使うことにします。
4.カラーラフの制作
サムネールを元にカラーラフを制作します。
ほぼサムネール通りに作っていきます。サムネールの段階で、しっかり完成をイメージしているのであまり迷いません。使うフォントや、色もおおよそのイメージを頭に描いてから、サムネールを描くのが理想ですよ(慣れないと難しいですが)。そうすれば、サムネールとカラーラフとの差が少なくなります。それに、レイアウトしながら迷ったり、 いろいろ試したりする無駄な時間がなくなります。
大きな仕事ではなくても、必ず何を目的に、誰に向けて作っているのか? どう感じてほしいのか? そういった方向性を考えてから、 手を動かしましょう。
私のカラーラフの作り方としては次のような感じです。
最初は飲み物の影とか、葉っぱのつなぎ目とか気にせず、大雑把にレイアウトします。 最初に細かい箇所から作り込んでいくデザイナーがいますが、それはオススメしません。あくまでも全体を見ながら、作業を進めていきましょう。
提案できる50%〜70%くらいの段階で、完成をイメージして、最後までこぎつけそうなのを、自分で確認します。そして、その段階で担当営業にも見せ、時間があれば他のデザイナーにも見せたりして、意見を参考にしてから、お客さんに提案できるレベルにまで仕上げていきます。上手く完成出来なさそうっていう案があれば、その時点でボツにします。 途中でうまく行かなかったら、迷わずボツにして、他の案に取り掛かります。あまり一つの案に固執しないほうが良いです。そのほうが短時間で良いものができると思います。
今回は3種とも及第点と判断したので、続けて仕上げていきます。
カラーラフの出来上がりです。
5.レイアウトの方向性の違い
デザインの方向性がほぼ同じなので、ラフ3種というより、ヴァリエーション3種と言ったほうが良いかもしれません。 とは言っても、多少の方向性の違いはあります。C案は、少し大人っぽい落ち着いた感じ。B案が派手な感じ、A案はその中間です。
私自身はこのカフェの客層にはC案が一番良いかなと思ったのですが、B案が選ばれました。 確かに大型のパネルポスターとしては、C案では少し華やかさが足りないかもしれません。
6.修正と微調整、いよいよ完成
選ばれたB案のLOGOの入れ方を修正し、飲み物の影や葉っぱの細部も調整しました。下が完成したパネルポスターです。
背景は少しだけ色を付けました。全体的にサムネールの段階から、殆ど変わっていません。ほぼイメージ通りです。
初心者のデザイナーは、カラーラフ制作の段階で、いろんなことを試すことが多いようです。 色や書体を変えたり、レイアウト自体を変えてみたり、他のデザイン要素を加えてみたり、とかですね。
あまり具体的に考えずにラフスケッチやサムネールを作っちゃうと、そうなりがちなんですね。 一番大事なのは、サムネール段階で、まずしっかり考えること、そうしたら最後まで迷うことなく、スムーズに作業が進みます。
7.まとめっていうか、復習です
もう一度書きますが、作業の前に次のことを考えましょう。
・このパネルはどこに置かれるものか?
・どんなシチュエーションで使われるのか?
・ターゲットはどんな人達か?
・季節は? いつからいつまで使われるのか?
・ターゲットの人達に、どう感じて欲しいのか?
・そしてどんなアクションを起こしてほしいのか?
これらが頭にしっかり入っていれば、方向性をそれほど間違うこともないでしょう。
また、レイアウト段階で、いろいろ迷うことも少ないと思います。
8.おまけ
今回のクライアントは台湾上島珈琲店です。
私は毎週末、台北市内明曜百貨の地下の上島珈琲店へモーニングを食べに行きます。モーニングも好評ですが、ランチのサンドイッチも 絶品です。台湾に上島珈琲店があってよかったと思います。
いつもは、アイスの無糖ミルクコーヒーを飲むのですが、バナナミルクコーヒーも何度か試しました。
バナナの香りが大変良く美味しかったです。
皆様も是非お試しください。(夏限定です)
と書いてるうちに、冬になってしまいました。スミマセン…
私たち三宅デザインは、日本と台湾で培った経験を元に、平面デザイン、ウェブデザインを通して、クライアントの悩みを解決しています。どうぞご相談ください。
>MIYAKE DESIGN OFFICE TOP