デザインやビジネスに役立つ情報を三宅デザインオフィス台北のスタッフが発信します。

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「お客さんはこっちのデザイン案の方が好き」はデザイン会社の考え方としてNGですよ!

「お客さんはこっちのデザイン案の方が好き」はデザイン会社の考え方としてNGですよ!

「お客さんはこっちのデザイン案の方が好き」はデザイン会社の考え方としてNGですよ!

こんにちは。
お客さんにデザインを提案してフィードバックをもらったとき、「お客さんなんて言ってた?」と担当の営業に聞くと、「お客さんはA案を選んだよ。こっちの方が好きみたい。」という返事が返ってくることがたまにあります。
 
が。しかし。
私もまだまだ勉強中の身なので偉そうには言えないのですが・・・これだけは言わせてくださいっ!
 
「『好き・嫌い』でデザインを判断するのは違うよーーっ!」
 
デザインてあくまで問題解決の手段・回答であって、そこに「好み」という軸が入ってくることはないんです!とある問題に対する最適解がデザインなので、基本的にデザインを判断する軸は「適切かどうか」の一方向なんです!
逆に好みで決められることはデザインとは呼ばず、それは装飾またはアートと呼ぶんですよ・・・。
もちろん、個人的な好き・嫌いは誰だってありますけど、それを理由にデザインを判断するのは、ちょっと違うんじゃないかな、と思います。
 
分かりやすくするため、少し極端な例を挙げてみますね。
 
幼児向けの可愛いキャラクターグッズを販売するお客さんが、デザイン会社に新商品のポスター制作を依頼したとします。担当したデザイナーはシックでミニマルなデザインを好む人でした。さて、このデザイナーは、自身が大好きな無印良品やAppleのようなトンマナでポスターデザインをしても良いでしょうか?
 
もし私がお客さんだったら、嫌です・・・。

私がお客さんだったら・・・、そのグッズの一番の目玉はそのキャラクター自体なので、ポスターもキャラクターが一番目立つように配置してほしいです。そして幼児向けですから、彩度と明度の高いカラーリングでくっきりとポップなトンマナにして、より子供の目を引くようにしたいです。もし例えばキャラクターにイメージカラーがあるとしたら、その配色を応用したカラーリングにしてほしい、とも思うかもしれません。またキャッチコピーは、賑やかな配色に埋もれてしまわないよう読みやすいフォントで目立つサイズや場所に置いてほしいです。
 
以上のポイントは実は全て、「幼児向けの可愛いキャラクターグッズ新商品のポスター制作」という問題を解決するための回答です。これらの回答を導き出して具体的にどうビジュアルに落とし込んでいくのかまでが、平面デザイナーの腕の見せ所です。どうやったって、シックでミニマルなポスターはこの場合は適切ではありませんね。
 
これはちょっと極端な例でしたが、でも本質は同じようなことが実は結構あるんじゃないでしょうか。
 
デザイン案を提案した時、お客さんに「ここのフォント、好きじゃないんだけど別のじゃダメなの?」と聞かれて「私はこのフォントが好きだから、ぜひこれを使いたいんです。」と答えるのはどうでしょうか。きっと、お客さんからしたら「あなたの好みは聞いてないんですけど。」で一発KOなんじゃないでしょうか。
逆に、「このフォントは視認性に優れていてかつ印刷してもつぶれにくく、しかも今回のトンマナにマッチしているから非常に適しているんです」など、はっきりと根拠を示すことができれば、お客さんも「あーなるほどね」と理解してくれるんじゃないでしょうか。お客さんの担当者の好みではないかもしれませんが、デザインとしてはきっと正しい方向を向いているはずです。
 
余談ですが、私が大学生の時、設計課題の講評会でプレゼンをした後、教授・講師陣から「ここはなぜこういう設計にしたのか」と問われたときに「それが好きだからです。」ともし答えようものなら、その場で抹殺されるか鼻で笑われて公開処刑されるか、のどちらかでした。当時は全くよくわかっていなかったので、講評会が嫌で嫌でたまらなかったですが、今考えたら、そりゃ当然ですよね…。
 
ちなみに「デザインは問題解決の手段・回答である」というこの考え方は、平面デザインだろうがWEBデザインだろうが、内装デザインだろうが工業デザインだろうが、デザインと名のつくものは全て同じですよ。
 
なので。すべてのデザインに携わる皆さん(私も含めて)、くれぐれも「こっちのデザインの方が『好き』」とは言わないようにしましょうね!
「こっちのデザインの方が『適している』」ですよ!!
 
(個人的に好きかどうかは、また別の話ですよ!)
 

私たち三宅デザインは、日本と台湾で培った経験を元に、平面デザイン、ウェブデザインを通して、クライアントの悩みを解決しています。どうぞご相談ください。

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記事を書いた人

yoshimi ishimura 営業、進行管理

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