海外で活躍する人々 vs AI翻訳
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海外で活躍する人々 vs AI翻訳
台北からこんにちは!三宅デザイン営業の石村です。
三宅デザインは台湾でお仕事をしている会社なので、社内公用語はもちろん台湾の繁体中国語です。我々日本人スタッフも頑張って中国語で社内・外とコミュニケーションをとっています。私も台湾生活9年目となり流石に色々慣れてきましたが、とは言え自分にとっては外国語なので未だに辞書アプリやGoogle先生の助けは必須です。今回は、我々のような海外で(または「海外と」)働く人とGoogle翻訳に代表されるAI翻訳について書いていきたいと思います!
1. 自動翻訳のAI化
「自動翻訳のAI化」という表現が正しいのかどうかはちょっと自信がないのですが、もし使い方が間違っていたらすみません!何が言いたいのかというとですね、実は数年前くらいにGoogle翻訳の日本語訳の精度が急激に上がったんです。それこそ、「あれ、これ中に人入ってる?これがいわゆるAIかな?」と思うくらい。今までGoogle翻訳と言えば私の中では勝手に、日本語訳が直訳すぎてヒドすぎるためもはやギャグツールである、という位置付けにしていたのですが(Googleさんごめんなさい)、まぁなんと最近の精度の高いこと!非常に驚きました。そうは言ってももちろん100%完璧な翻訳ではなくて、やっぱりなんとなく「あ、翻訳機っぽいな」と思う部分もまだ少しあるものの、以前の精度に比べたら、これはドラえもんのほんやくこんにゃくももう夢ではないのでは、と思えてくるほどです。
一体Google翻訳に何が起こったのかと思って調べてみたんですが、どうやら、従来のアルゴリズムは文法ルールと統計的アプローチからだったのに対し、ディープラーニングとビッグデータを搭載して文脈を学習させて全体から翻訳をするというアプローチにモデルチェンジしたことにより翻訳性能を格段にアップさせることに成功した、ということらしいですよ。平たくいうと、今まではセンテンスを文節で区切って文節ごとに訳していたのを、ビッグデータを駆使して文脈で訳するようにした、ということのようです。技術的なことには明るくないので詳しくは割愛しますが、要は本格的なAI化の方向へ舵を切ったことにより、翻訳精度がぐんとあがったということですかね。(興味のある方はぜひググってみていただければと思います!)
ただ、こんな感じで身近にAI技術の進歩を目の当たりにすると、誰しも「近い将来AIに奪われる仕事リスト」的なものが気になってくるんじゃないかと思います。もしGoogle翻訳の精度が更に更にアップして、もう同時通訳と変わらないレベルになり、ドラえもんのほんやくこんにゃくも実現してしまったら、、、翻訳者や通訳者なんかはそれこそ大打撃を受けてしまうのでは…。
「台湾で日本のデザイン・サービスを!」をモットーに掲げる三宅デザインも、もしも将来日本のクライアントがAI翻訳を使って難なく中国語で台湾ローカルとコミュニケーションとれるようになっちゃったら、存在意義なくなっちゃうんじゃないの?!なんて頭をよぎったりして・・・。
2. 海外で活躍する人・会社は必要無くなる?!
じゃぁ実際に、翻訳者・通訳者だったり、三宅デザインのような海外現地でのコーディネート含むサービスを展開する会社だったりは将来的にAI翻訳ツールに代わられて無くなってしまうのかというと、私はこれは、実はけっこうNOだと考えています。なぜならば、AI翻訳が提供できるのは今のところ、発した言葉の直接的な言語変換のみでしかないからです。
例えば小説を翻訳するとき、ただそこにある言葉を変換していくだけでは成り立たないですよね。私は翻訳者ではないですが素人目から見ても、文脈、カルチャー、背景などを全部加味した上で更に、原文の世界観を損なわずかつ読者を惹きつける書き方や言い回しが必要になるんだろうなと容易に想像がつきます。(そういう意味では、村上春樹の小説の外国語訳は特に難しそうですね…。あの独特な日本語の言い回しをどう外国語訳して世界観を伝えるんでしょう。。。翻訳者の方々は本当にすごいですね。)
近い将来、日本の会社がAI翻訳を使って台湾の会社と言語の壁を越えて仕事を進めていく、という構図は確かに大いにあり得ると思います。しかし、国をまたいでビジネスをする時にネックになるのは実は言語だけではなくて、むしろビジネス文化だったり習慣だったり、言語の壁よりもむしろ後者のハードルの方が往々にして高い場合が多い気がします。そして、三宅デザインもそうですが、海外現地で日本のクライアントに向けて等といったモデルでビジネスをしている会社の強みのコアは、まさにそこの橋渡しがうまくできることなんじゃないかと思います。双方の文化や習慣だったり、生の情勢だったり、現地ターゲット層に本当に刺さるポイントだったり、を熟知していて、その上で企画や提案ができるのが真の強みではないでしょうか。これらは決して現地の言葉だけをマスターしたからといって自動的にわかるようになるものではなくて、現地の生活やビジネスに本当に入り込んで体感しないとなかなか難しいんですよ。日本人の感覚では正解だと思っていたことが実は現地ではアウトだったり全然効果が無かったり、またその逆だったり、そういうところまでAIが習得して実用化できるようになるには、まだまだかなり先なんじゃないかな、と思っています。
3. 最後に
というわけなので、ただ目の前にある言葉を変換すればよいだけのときはAI翻訳に任せればよいと思いますが、そこにさらに現地文化やビジネスへの理解だったりが必要となる橋渡しのコミュニケーションにおいてはまだまだAIだけで全部まかなうのは難しいのが現状かと思います。自分で書いててどこかホッとした面もありますが、だからこそ油断せずより一層精進せねば、とも思いました!
私たち三宅デザインは、デザインのプロ集団です。日本と台湾で培った経験を元に、平面デザイン、ウェブデザインを通して、クライアントの悩みを解決しています。どうぞご相談ください。
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